師匠
2012-05-13


勝手に師と仰いでいる人が二人いる。
江戸におられる師匠とは、昨年秋に京都で会うことが流れて、それ以来疎遠である。
わたしはやることなすこと中途半端で、始めることができてもきちんと完成させられない。
江戸の師匠は3ヶ月くらいしか待ってくれない人だが、それでも今回は完成するのを二年かけて待ってくれていた。
愛想を着かされるのも当たり前である。

もう一人の師匠は、当蝦夷地にいてかつての上司である。
暖かくなったらまた飲みましょうと約束していたので、連休前にメールを送ったのだが、返事が無かった。
5月7日に会社で、メールを送った前の日に師匠が亡くなっていたことを聞いた。
ずっとわたしの作品が完成するのを待ってくれていた。
半完成品を見せたとき、「きのめのは誤字脱字ばかりだな、きちんとしたやつ、俺が生きているうちに完成させろよ。でもまあ無理だな。俺の予測どおりにいつも期待はずれだからな」
師匠は2年ほど前から胃がんで、それでも会えば気にするなと言っては一緒に飲んでくれていた。
昨年会ったときには「死んでも連絡は行かないからな」と笑っていた。
そりゃ死んだら連絡できないですよ、と憎まれ口を叩いて別れた。
じゃあな
それっきりである。

今日、江戸の師匠の奥さんから電話があった。
師匠と代わってくれた。
元気である。胸をなでおろした。
「あんたはどうしているか知らんが、俺は勉強を続けててね。詩集、今年二冊目を出すよ」
うるさがれても、完成品ができてなくても、会いに行こうと思った。
[日々雑記]
[忘れない]

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