ぶどう
2011-10-10


葡萄の甘いにおいがする。
いつもの年より葡萄の房は少ない。
冬に余分な枝を刈り込んだ。
今では枝が伸び放題で葡萄の樹一本なのにうっそうとしている。
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せわしない日々が続いて今年もあまり手をかけていない。
支える棚からはみ出た枝がひばの木の天辺まで巻きついて、
天に向かってまだ手を伸ばし続けている。
葡萄の房がぶらさがったままほしぶどうになりそうだ。

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この三日間のどこかで収穫しなくてはと思っていた。
土曜日と体育の日の月曜日が仕事になった。
日曜日は義父の一周忌だった。
朝早く起きて葡萄をとって、とも思ったが少しばかり億劫だ。
女房と結婚して20年、義父とはとうとうわかり合えなかった。
わかってもらおうと努力はしていた。お互いに。
家族思いの優しく、そして毅然とした無口な男だった。
どこかでつまらない意地を張り合っていた。
義父の頑固さに付き合うのを女房は早々とやめていた。
今朝、車を運転して考えていた。
わかってもらおうと、伝える努力をした。足りなかったのか。
ちがうな。わかってもらわなくても、どんなふうに思われても構わなかった。
わかってあげればよかった。ただそれだけだったんだな。

でも、もう済んだことだ。
手が届かない葡萄は、すっぱい葡萄にきまっている。
つまらない意地でも自分を支えるつっかえ棒だ。
誰にどう思われようが自分はこれ以上でもなければこれ以下でもない。

秋の空に向かって手を伸ばしてみる。



[日々雑記]

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