青い空
2007-09-13


青空が高い。
とんぼがつがいで飛んでいる。
熱気の中にひんやりとした風が過ぎる。
もがいていた若いころを思い出す。
くっついて飛んでいる姿すら嫉妬する自分に苛立っていた。

そんなこともあったねと、とんぼは悠然と目の前を飛ぶ。

経てきた人生を否定されることがある。
若いころは否定を拒否して腹を立てた。
自分はそうじゃない、おまえに何がわかる。
いまは折り合いをつけようとする自分に苛立っている。

時が移ろっただけで何も変わってないんだよ。

公園の横を自転車に乗った高校生の一団が通り過ぎていく。
男の子も女の子も夏の制服から熱気が溢れている。
僕はベンチから立ち上がって、スーツの皺を気にした。
とんぼはあとからあとから飛んでくる。

見上げると青い空に飛行機雲がまっすぐの白い一本線を描いてる。
ふきのとうの風来坊を口ずさみながら公園をあとにした。
[文章塾]
[弱きもの(あるいは偽善者)]

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